子どもの貧困と経済格差問題!


子どもの貧困対策法、改正へ 「貧困の解消」明記 養育費指標も追加(朝日新聞 5月2日)
 
子どもの貧困対策を盛り込んだ「子どもの貧困対策法」について、超党派の議員連盟が議員立法によって改正する方針を固めた。
「貧困の解消」を入れた名称に変え、法の目的を明確化。
離婚後のひとり親が受け取る養育費の指標なども加える。
今国会での成立を目指す。
 
今国会では、政権の少子化対策を盛り込んだ法案が審議中で、子ども・子育て支援が議論になっている。
法改正に取り組むのは、超党派でつくる「子どもの貧困対策推進議員連盟」。
貧困による困難を抱えた子どもの機会や権利の保障の必要性を訴えていく考えだ。
 
改正案では「貧困の解消」を法律名に明記。目的や基本理念にも「現在の貧困を解消することをもって、将来の貧困を予防することに資すること」といった内容を入れる。

政府は昨年末に子ども政策の方向性などを盛り込んだ「こども大綱」を閣議決定。
貧困によって、日々の食事に困ったり、学習や部活動などの機会を十分に得られなかったり、進学をあきらめざるを得なかったりするなどの子どもがいることから、「こどもの貧困を解消し、貧困による困難をこどもたちが強いられることがないような社会をつくる」とした。
 
同法には、こども大綱で定める貧困対策にかかわる指標が挙げられているが、改正案には「ひとり親世帯の養育費受取率」を追加する。
政府は、離婚後のひとり親が受け取る養育費の受領率を2031年までに28・1%(21年)から40%に引き上げる目標を掲げている。
 
改正案ではさらに、民間団体の支援活動を財政的に支え、貧困実態などの調査研究成果の活用を進めるよう明示する。
 
同法は13年6月に成立、14年に施行された。所得水準などに照らし、貧困の状態にある18歳未満の割合を示す子どもの相対的貧困率は、21年で11・5%。
ひとり親世帯でみると44・5%にのぼる。(川野由起)

https://www.asahi.com/articles/ASS512K0BS51UTFL005M.html

日本は、今から約40年前、1億総中流社会と言われていたし、日本国民もそう思っていたふしがある。
その頃は、経済が右肩上がりで、誰もが日本社会の経済格差を感じてはいなかった。
お金持ちはいるが、私たちは、貧乏ではないという庶民感覚があった。
しかし、2000年以降、徐々に経済格差が生まれてしまった。
規制緩和だ!規制緩和だ!と20数年前、小泉内閣が国民の支持を受け、アメリカのような社会を目指した結果、非正規雇用が増え、日本は、どんどん所得に差が出てしまった。
様々な自由化が、グローバル社会にとって必要だと喧伝され、気がついたら、アメリカ並みに貧富の差が出来てしまったのだ。
ましてや、日本の昔ながらの共同社会的な風土さえなくなって、社会的連帯が分断されたのだ。

この貧富の差の負の影響を受けたのが、子どもたちだ。
子どもたちの貧困が問題になったのは、2000年代に入ってからではないだろうか。
バブル経済がはじけ、消費税が5%になり、経済状態が右肩下がりになり、IT景気も一瞬で終わった頃からだ。
景気回復のために、痛みを伴う構造改革が必要だと、小泉内閣が誕生し、そして、ずっと痛みが続くのだ。

将来を担う子どもたちは、経済格差、そして教育格差の影響をもろに受け、健全に育つ環境ではないところまで来ている。
政府は、この貧困対策について、徹底的に取り組んだ方が良い。
少子化対策の1丁目1番地が、この子どもの貧困対策だ。ここを抜きにしては、日本の将来がない。
そういう覚悟で、「子どもの貧困対策法」の改正を行ってほしい。
日本の政治が失敗した結果として、この状態があるのだと肝に銘じて、政治家の皆さんは、真剣にこの改正に取り組むことを望む。