地方自治体が人の取り合いを始めることになる!

東京の私立高無償化に都外通学者から「不公平感」負担どうすれば?(朝日新聞 2月7日)
 
東京都は4月から、私立校を含めたすべての高校の授業料助成で所得制限をなくして、「実質無償化」する方針を示している。
ただ、「都内在住」が条件で、都内には千葉県など近隣県から通学する生徒もおり、地域間で生じる不公平感に対する不満を訴える声もある。
教育費の負担はどうあるべきなのだろうか。
 
千葉市中央区のパート勤務の女性(46)には、東京都内の私立高校に通う長男がいる。
当初ニュースを聞いて喜んだが、「都内在住」が条件だと分かりがっかりした。
クラス内の生徒のうち6割が都内在住だといい、「多くの同級生には授業料が出る中で、損した感がある」と話す。

東京都によると、都内の私立高校(244校)に在籍する生徒は約18万人で、そのうち都外から通学するのは約3割の5万人超。
この女性が支払っている年間の授業料は約50万円。
千葉県在住の同級生の中には、都内への引っ越しを検討している家庭もあるという。 
女性は高校進学を控える中学2年の娘らへの影響も気になる。
これまで金銭的な理由で都立高校を選んでいた受験生が私立高校に流れ、都内の私立校の受験競争が激しくなる可能性がある。
「その分(千葉県内の受験生で)県内の私立や県立高校を志望する人が増えるのでは」と心配する。
 
中学2年の長女が都内の高校をめざしている千葉市稲毛区のパートの女性(52)も、東京都の施策には「不公平感がある」と話す。
高等学校等就学支援金という国の支援制度はあるが、所得制限が設けられているのが不満だ。
「住む場所に関わらず、一律で無償化してほしい」と話す。(中略)

私立高校の授業料について、千葉県の現行制度では国の支援金に上乗せするかたちで、年収に応じた助成をしている。
東京都に隣接する神奈川県や埼玉県も同じだが、それぞれ金額や対象にはばらつきがある。
 
千葉県の場合は、年収640万円未満の世帯には授業料全額が免除される一方で、年収が910万円以上の世帯は助成されない。
東京都が昨年末に無償化の方針を表明して以来、県の担当課には「千葉県でもやるべきだ」といった問い合わせがあるという。
 
ただ、県教育委員会の試算によると、授業料を支払っている県立学校の生徒約2万1500人分を無償化すると、約25億円の追加予算が必要となる。
私立高校で実現するには、100億円を超える規模の財源がいる。
総務省によると、人口1人あたりの地方税収額の指数(全国平均100)は、2021年度は東京都が163・6だったのに対し千葉県は92・7。
「税収力」には歴然とした差がある。

https://www.asahi.com/articles/ASS214RM1S1QUDCB00H.html

◇東京都の高校無償化については、愚策だと以前指摘しておいたが、この記事にもあるように、人気取り政策は、他県にも影響をする。
大阪府でもその周辺県の高校で問題化したように、東京都でも問題化するのは、わかっていたはずだ。

◇世帯収入が大きい家庭に、子女の教育について優遇することはない。私立高校であろうが、どこであろうが、十分にお金を出せるのだから。
ある県では、高校無償化で、隣の件では年収制限がある。そして、他県から通っている生徒と、都内・県内から通っている生徒では、優遇される基準が違う。
そうなると、結局は、地方自治体間の若年人口の取り合いになって、教育を受ける権利に大きな差が生まれかねない。

今回の記事は、そういう記事だ。
そして、さらに人口減に苦しむ地方自治体が、住民獲得競争で負けてしまう。
このような政策を良しとしてはいけない。もうそろそろ国が出る場面ではないか。