学校に秩序維持機能と浄化機能はないのか?
教頭らに「バカ、アホ、パー」と暴言 パワハラの中学校職員を停職に(朝日新聞 2月17日)
〇教頭や教諭らに対し「バカ」「アホ」「パー」といった暴言や威圧的な行動をとるなどのパワハラをしたとして、長崎県教育委員会は17日、西海市の市立中学校の事務主幹の男性(59)を停職6カ月の懲戒処分にし、発表した。被害を受けたのは、学校の校長ら計6人。校長と教頭の2人は精神疾患で現在も休職中だという。
〇県によると、男性は2021年7月~22年7月、職員会議の場で「どがんなってるとか」と校長を叱責(しっせき)したり、教諭や図書館司書に対して文書のミスを繰り返し謝罪させたりした。
〇教頭のことを「バカ、アホ、パー」などと日常的にけなし、「『私は仕事できません』と札に書いて(教頭の)首から下げさせろ」とも発言した。
〇22年4月に校長が精神疾患のため休職し、教頭は異動したが、男性は新任の教頭にも、学校日誌の印刷など不必要な業務をさせたり、「あなたと話したくない」と発言したりした。教頭は着任後3カ月もたたないうちに休職。このころ、県教委も事態を把握した。
〇この学校で文書や給与などの事務を担う職員はこの男性のみ。被害を受けた職員らは「男性にパワハラだと指摘すれば、さらに執拗(しつよう)な追及がされるため避けた」と述べており、県教委は、職務に関する優越性を背景にパワハラに及んだとみている。生徒への被害は確認されていないとする。
〇パワハラした理由について男性は「職務を忠実に遂行する思いやこだわりが強かった」と述べ、バカなどの暴言については「侮辱する意図はなく、口癖のように発言していたと思う」と説明したという。
〇県教委は男性を口頭で指導。課長補佐級から係長級に一段階降任させた。県教委は今後、怒りの感情と向き合う講習の受講などを検討するとしている。(石倉徹也)
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20230217003909.html
私のコメント
◇今回の記事で不思議に思ったのは、学校内でこのような暴言やある種のいじめが職員間で起こった場合、誰かが抑止しないのかということだ。
この記事を読む限り、明らかに常軌を逸した発言や行動を一人の人間がしているのだから、職員の誰かが、それはいきすぎだ!とか、やりすぎだ!とか、注意をしても良いように思う。
特に、校長や教頭がそれをやるべきだが、その校長や教頭が餌食になってしまっている以上、その他の教職員が断固として、止めなくてはならなかったはずだ。役職の上下の問題ではないはずだ。人道的に許されないものだという認識がなくてはならないのではないか。
◇記事の中に、「男性にパワハラだと指摘すれば、さらに執拗(しつよう)な追及がされるため避けた」とあるが、このような言い訳がまかり通るわけがない。悪いことを彼がしているという認識があったからだ。いじめに関して、見て見ぬふりをしているということと同じだからだ。
そして問題なのが、そのようなことがまかり通る世界が、学校の世界だということだ。建前が優先され、人道的な本音が引っ込んでしまったのだ。このようなことでは、学校自体が良くなることはない。
◇そして、今回の事への対処が「怒りの感情と向き合う講習の受講などを検討する」とコメントしているが、個人に今回の問題を還元するよりも、集団を維持する機能、そして、集団がおかしくなったら浄化する機能を学校集団に持たせることを考えたほうが良いのではないか。
つまり、校長や教頭が、客観的に事実を認識し、判断できるようにさせたほうが良いのではないか。一般社会の組織論を学び、社会的常識や見識を身につけたほうが良いのではないかと思う。そのための研修なり、実地研修を行った方が良いと思うが、どうだろうか。(JEC代表理事 中土井鉄信)