働き方改革よりも、職場の人間関係のあり方の見直しを!

東京都の新任教諭、4.9%が1年以内に離職 過去10年で最多(朝日新聞 4月24日)
 
〇東京都教育委員会は24日、昨年度採用した公立学校の新任教諭のうち、1年以内の退職者が169人だったと明らかにした。
全体の4.9%を占め、都教委の集計によると過去10年で最多。ほとんどが「自己都合」による退職だった。
新任教諭の離職は全国的な課題で、都教委は対策を強化しているが、改善につながっていない状況だ。
 
〇都教委によると、昨年度採用した公立小中高、特別支援学校の新任教諭は3472人。
退職者169人の内訳は、小学校が116人、中学校32人、高校5人、特別支援学校が16人だった。
 
〇自己都合の159人を理由別でみると、約半数が病気で、多くが精神疾患だという。
転職など進路変更は3割、介護や転居といった家庭の都合が2割だった。
懲戒免職が1人、指導力不足などを理由に正式採用にならなかった人が9人だった。

〇近年、新任教諭が1年以内に退職する割合は増加傾向にある。
文部科学省の調査では、2022年度、1年以内に辞めた新任教諭は全国で635人にのぼり、うち622人が依願退職だった。
3分の1は精神疾患が理由だった。
 
〇特に小学校は、複数の教科を教えながら学級担任も務めるため、負担感が大きい。
また、メンタル不調での休職者も多い。このため都教委は対策に重点を置いており、
昨年度からは、全新任教諭を対象に、臨床心理士らが学校に出向いて面談する事業を開始。
さらに今年度は、新任教諭1人に年齢が近い先輩1人をつけて、相談に乗るメンター制度も導入した。
都教委の担当者は、「一度は東京都の教員を目指した人が1年以内に退職してしまうのは、非常に残念なこと。
サポート体制を充実させるとともに、外部人材の活用や教科担任制の推進などで負担軽減に努める」としている。
 
〇国も対策を打ち出す。文科省は19日、中央教育審議会の特別部会に、教員の働き方改革の具体案を提示。
新任教諭の支援策として、1年目は学級担任にはならず、教科担任として副担任になれるようにする案などを盛り込んだ。(本多由佳)

https://news.yahoo.co.jp/articles/25985b40f991b719c487b8e9287b20db7478d5e1

◇新卒が簡単にやめてしまうのは、何も、学校だけの問題ではない。
社会に出るまでの子ども時代に、大人が何を求め、社会が何を求めるのかによって、社会的圧力に対する耐性が変わっていく。
昭和という時代は、歴史的遺産として、理不尽な時代だった。
平成は、その理不尽さを残しながらも、徐々に理不尽さを排除し、
濃密な人間関係から、徐々に距離を取った人間関係に変化していった。
今までの歴史を消していった時代だったと言って良い。
そして令和は、行き過ぎた人権擁護主義が、個々人の耐性を弱らせ、
コロナ禍の2年で、人間関係が完全に希薄になって、他者に対する信頼は薄れ、
しかし、他者なしでは生きていけない人間の性が、何かに救いを求めるそんな時代になっている。

◇そのような時代背景の中で、教員になった若者は、
子どもという生きる文法を要求しない存在の面倒を見、教科を教え、そして、評価をしていかざるを得ないのだ。
自分の言うことを聞くような関係を子どもと構築することは、この時代、権威のなくなった教師には、非常に難しい。
ましてや、昨日今日、教員になった若者には、非常に難しい。

◇だからこそ、若い教師には、学校の中の、職場の中の縦横斜めの人間関係が必要なのだが、
先ほども書いたように、希薄な人間関係しか経験してこなかった若者にとっては、
この濃密な人間関係も、非常に重たいものなのだ。見守る人間関係というものが、必要なのだ。
そのためには、歳の離れた先輩教員との関係の構築が大切になってくる。
記事の中にあるような「新任教諭1人に年齢が近い先輩1人をつけて、相談に乗るメンター制度も導入」することと並行して、
見守ることが出来、ちょっと離れた視点からアドバイスが出来る年齢の離れたメンターも必要なのだ。
この見守るという視点もぜひ、考慮して、新任教師のサポートを考えてほしい。教師は、国の宝なのだから。