学校現場での裁量権が拡大して、地域の格差は更に広がる
小中学校の授業を5分短縮、年間で計85時間を弾力的に運用へ…各学校の裁量で自由に(読売新聞 2月11日)
文部科学省は小中学校の授業時間を見直し、学校の裁量を拡大する方向で検討を始める。
授業時間を5分短くし、短縮分を各校が自由に使えるようにすることなどを想定している。
文科省は次期学習指導要領への反映に向け、今年秋にも中央教育審議会に諮問する見通しだ。
小中学校の授業時間は、学校教育法施行規則に「標準例」として示されている。
現在は1コマあたり小学校45分、中学校50分で、
文科省はこれを小中とも5分短縮して小学校40分、
中学校45分に変更することなどを視野に入れている。
変更されれば、1958年の規則明示後、初めてとなる。一方、年間の授業時間数は変えない方向だ。
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20240209-OYT1T50241/
現在、小学校の4年以上と中学校は1015コマで、45分授業の小学校では年間約760時間、中学校は約845時間が授業に充てられている。
授業が5分短くなれば、小学校、中学校ともに約85時間(5075分)の差が生まれ、これを各校が弾力的に運用できるようにする。
背景には、子どもの学力や教育環境の地域間格差が広がっていることがある。
各校が画一的な授業を横並びで実施しているだけでは対応が難しく、裁量拡大によって学校現場の創意工夫を促す狙いがある。
思考力育成を目指した探究活動や、基礎学力定着のためのドリル学習など各校がそれぞれの実情に応じて指導に生かすことを文科省は期待する。
私のコメント
◇とうとう、文科省は、学校の授業時間を短縮してまで世間に迎合する考えらしい。
小学校が40分になり、中学校が45分にして、そのカットした5分を、学校の裁量に任せて運用する案だ。
◇一見、良い案のように見える。
各学校で、現状に合わせて、生徒に合わせた時間の活用が出来る。
素晴らしい進歩だ。こんな風に受け止められる案だ。
しかし、学校の裁量権を拡大するということは、今まで以上に、現場が色々なことを考えなければならない。
さらに、現場の教師の負担が増える。そして、予算が必要になってくる可能性もある。
お金のある自治体は、予算がかけられるが、お金のない自治体は、教師の創意工夫だけでやれ!ということになるかもしれない。
学校によって、全く違う時間の使い方になってしまう恐れもあるのだ。
◇私立学校のような格差が生まれかねない案のように私には思える。
校長の力量も、教師集団の力量も、ともに試され、地域で学校間格差が問題になってしまうケースもあるだろう。
この案が、もし実現するのであれば、予算にしろ、ガイドラインにしろ、しっかりとした制度的裏付けが必要だ。
全く自由な裁量権は、学校教育を危うくする可能性があると私は思う。