学校教育が成り立たない!
教員の志願者、減少続く 過去最低の地域も 「長時間労働を敬遠」(朝日新聞 9月19日)
〇公立学校教員の2024年度採用試験の志願者は全国で計12万7855人で、
前年度から6061人(4・5%)減ったことが各地の教育委員会への取材でわかった。
教員の長時間労働が問題となるなか減少が続いており、
採用試験を行う全国68機関のうち6割近い38機関で、
24年度試験の志願者数がこの5年間で最低となった。
一方、採用の仕方を工夫し、志願者を増やした地域もある。〇採用試験の日程は地域によって異なるが、
4〜5月に出願▽7〜8月に受験▽9〜10月ごろ合格発表──という流れが一般的。
現在、24年度採用試験が各地で進行中だ。
朝日新聞は、採用試験を実施する47都道府県と20政令指定市の教委、
大阪府から教員人事権を移譲された豊能地区教職員人事協議会の計68機関に、
この5年(20〜24年度)の採用試験の志願者数と採用見込み数(定員)を聞いた。
〇小中高校、特別支援学校、養護教諭など全ての試験区分の志願者数は、
20年度(計15万1372人)から24年度にかけて2万3517人(15・5%)減少した。
〇24年度試験の志願者数がこの5年で最低だった38機関のうち、
24機関はこの5年に限らず、把握できた範囲で過去最低となった。
また、68機関のうち半数の34機関は、志願者数を定員で割った倍率もこの5年で最低だった。
〇志願者数が減った理由について選択肢を示して複数回答可で聞くと、
「教員の長時間労働などの問題が知られ、
大学生から教職が敬遠されている」を選んだのが30機関と最多で、
29機関が「教員以外の業種の採用拡大による競争激化」を選んだ。
6機関は「減少傾向にない」と回答した。
〇一方、志願者が増えた自治体もある。
24年度試験の志願者数が全国最多の9465人だった東京都は、12年ぶりに増加に転じた。
北海道は13年ぶりに増え、群馬県や奈良県も8年ぶりに増加。
さいたま市と浜松市は現行の試験方式になってから最多となった。前年度から100人増えたさいたま市は、今年から新たに、
https://www.asahi.com/articles/ASR9M5450R7DUTIL03B.html
大学や研究機関での研究経験があり、
教員免許を持たない人を対象にした1次試験免除枠を設けるなど、
選考区分が15種類に上っている。市教委の担当者は
「様々なニーズに応じてきた結果では」と話す。
(高嶋将之、植松佳香、編集委員・氏岡真弓)
◇教員採用については、これまで幾度となく取り上げてきた。
子どもの未来をどうするか、社会の未来をどうするか、
ここが学校教育の最大のテーマであるはずだが、それ以前に、
学校教育が成り立たなくなってしまう事態が生まれつつある。
それが、教員のなり手がなくなってしまうということだ。
教職が聖職から地に落ちて、どんどんと世俗化し、一般の労働観と同じになってしまい、
子どもの未来、そして社会の未来を担うという意識が決定的になくなってしまった。
教職は、単なる労働と化したのだ。
だから学生は、苦労の多い教員になることを、わざわざ選ばなくなった。
◇もう教職が大きな社会貢献をするものではなくなってしまった現在、
教員の確保をどうするか、どう集めるか、どう魅力を打ち出していくか。ここが問題になる。
今回の記事の中には、大きなヒントがある。
それは、募集対象を拡大したり、採用試験形態を変えることだ。
例えば、募集対象者の拡大で言えば、
年齢制限(59歳)を撤廃し、教員免許の有無を前提にせず、
その代わりに諸条件をつけ(教育研究者、民間教育機関での勤務実績等)、
教員採用決定段階から、免許に代わる研修を受講し、
修了した段階で、学校での勤務を可能にするというようなものにする。
採用試験形態で言えば、社会経験年数によって、試験内容や試験回数を変えるというようなことだ。
◇入り口をどうするか。ここを検討することが必要になってくるはずだ。
その際、教員は専門職という立場をどうするかも、検討した方が良い。
学校内研修(OJT)がしっかり行えるようにした方が良い。
学校教育が成り立つために、教員採用のあり方を変革していくことだ。