子どもまんなか社会?

こども家庭庁が発足式 看板の文字は子どもたちと大臣が毛筆で(朝日新聞 4月3日)

〇政府の子ども政策を束ねる役割を担うこども家庭庁の発足式が3日、
東京都千代田区の霞が関ビルディング内に設けられた同庁で開かれた。
岸田文雄首相や小倉将信こども政策相らのほか、子どもや若者6人が参加。
首相は「子どもたちにとって何が最も良いことなのかを常に考え、
健やかで幸せに成長できるような社会を実現する。
こどもまんなか社会の実現がこども家庭庁の使命」と述べた。

〇発足式では、参加した子どもや小倉氏らが、同庁の看板を一字ずつ毛筆で書いた。
「庁」の文字を書いた小倉氏は「地方創生、住宅政策や環境政策などにも、
子どもや若者の意見を反映できるような政策の司令塔としてやっていきたい」
と報道陣に話した。

〇発足式後、子どもたちはこども家庭庁への思いを語った。
宮城県の高校3年佐々木まどかさん(17)は、
「子どもを中心とすることで政治への取り組み方が変わるのではないかと思う。
言葉だけではなく、行動で示してほしい。
子どもが大人を信用できる社会をつくってもらって、
私たちが安心して大人に将来の夢を話せるような国にしてほしい」と話した。
呼吸器を付けて暮らす東京都の中学生山田萌々華さん(14)は
「医療的ケアを受けていても保護者の付き添いなく学校に通えるようにしてほしい」と語った。

〇こども家庭庁は内閣府の外局として、
厚生労働省、内閣府の関連部局を統合して発足。
地方自治体職員や民間からの公募も合わせ、430人体制でスタートする。
妊娠期からの子育て支援のほか、虐待やいじめ、
貧困などの課題にも、子どもの目線を重視して対応する。
(藤崎麻里)

https://www.asahi.com/articles/ASR435J67R43UTFK00G.html

◇時代が変わり、社会が変容し、そして、人間までも変わっていってしまう。
そんな現代状況だが、この先の日本という国のあり方、
日本の地域のあり方、そして、家庭のあり方、個人のあり方を、
本当の意味で、今問うべきことのように思う。
ここで、しっかり国のあり方から家庭のあり方、個人のあり方まで、
一人ひとりが考えることだ。

◇「子どもまんなか社会」と岸田首相が言うが、
この言葉は、実は、国のあり方をどうするか、
社会のあり方をどうするかという将来の全体像がない限り、意味はない。
子ども家庭庁が出来たからと言って、
子どもが社会のまんなかにあるような政策は立てられない。
子どもを育てる国や社会や大人がしっかり自律していなければ、
誰も子どもには、目が向くわけがない。
この事実をこのような目新しいもので、隠さないようにしてほしい。
そして、私たちもそのことを忘れてはいけない。

◇子どもが幸せな世界とは、社会に余裕のある状態だということを思い出すことだ。
戦争状態、経済不況、社会混乱、その他、国が揺らぎ、社会が動揺していたら、
全くもって、子どものことなど顧みることはない。
「子どもまんなか社会」を実現するためには、
それだけの経済政策がなければダメだということだ。
2000年以降、子どもの貧富の差が問題になってきたが、
それは、経済不況のために、社会が利益と効率を求め、
非正規雇用者を生み出したからだった。
このことを忘れるべきではない。
子ども家庭庁には期待したいが、そのためには、
大きな覚悟が政治には必要だということだ。
人気取りの政策にならないように期待したい。
子どもや教育を投票の道具にしないようにしてほしい。
実効性の高い政策をお願いしたい。