当事者意識の欠落が問題を発生させるのだ!

札幌市の小学生男児が中学生の男子生徒から性暴力を受けた事件で、市教育委員会は性的ないじめを受けたとして重大事態と認定。第三者委員会による調査報告書を8日に公表した。
市教委は記者会見で、学校内で情報共有をせず組織的な対応が不足していたことや、他の専門職との連携が不十分だったことについて、「深くおわび申し上げます」と謝罪した。
 
調査報告書などによると、2021年5月、札幌市の男児(当時小学校低学年)はスポーツ少年団で知り合った男子生徒(当時中学生)から性暴力を受けた。生徒は、強制わいせつと強制性交未遂の非行事件として保護観察処分を受けた。男児は一時、不登校になった。
 
被害の数週間後、男児の母親(40)が小学校に情報提供をしたが、その後の対応や支援は教頭のみの判断で行われ、校長への報告は口頭のみだった。中学校にも情報提供されたが、迅速な対応はなかった。
 
いじめ防止対策推進法では、いじめ対策組織で情報共有することを定めているが、小中学校それぞれで
組織的な情報共有などはされなかった。
 
さらに、母親が12月にいじめ重大事態の調査を学校に申し入れたが、約5カ月間放置されていた。第三者委の委員長で北海道大学大学院の加藤弘通准教授(発達心理学)は、学校側の対応について「法への認識が甘かった」と指摘。報告書では「教育現場が法を守るつもりがあるのか疑いたくなる」と厳しく指摘した。
 
学校や市教委の対応は後手に回り続けた。加害生徒が近所に住んでいることから、被害後に母親が中学校に通学路の配慮を求めたが、警察などの捜査が続いていることを理由に中学校の対応が遅れた。このため、事件後に通学路で加害生徒と男児が顔を合わせる状況が1カ月半ほど続いたという。

スクールカウンセラーなど専門職に情報が共有されることもなく、男児の心のケアが実施されることはなかった。加藤准教授は「学校や教育委員会が主導的に動くべきだった。(通学路の調整など)被害者側がすべて背負うのは非常に酷だ」と言及した。
 
市教委は再発防止策として、今年4月に市の学校いじめ防止基本方針を改訂。
いじめ対策組織の責任者は校長▽定例会議を月に1回開催▽組織の構成員に専門職を必ず入れる、などと定めた。また、性教育を充実させるとして文科省の推進する「命の安全教育」をより進めるとしている。
(古畑航希、佐藤亜季)

https://www.asahi.com/articles/ASS9M1Q69S9MUTIL01SM.html

児童生徒等の問題は全国各地で日々起こっているが、その中でも、日常的ではない問題の対応について、公立学校や教育委員会は、大きなミスを起こす場合がある。一般企業であれば、重要な問題だとして、責任ある立場の者が、企業存続をかけて対処することがあるが、学校や教育委員会では、そのような問題意識はない。つまり、当事者意識を持っているケースがほとんどない。ここが、大きなミスが起こる根本原因だ。

学校や教育委員会の潜在意識は、以下のようではないかと私は考える。「私たちは、教育行政の歯車であって、それ以上でもそれ以下でもない。だから、基本的に問題が起きたら、穏便に、形式的に対処をしていれば、そのうち任期が終わって担当者が変わるのだから、それでよい。私たちが、責任をもって判断することは、その任ではないのだ。」

多分、このように考えているからこそ、大きな問題の対処が遅れ遅れになり、隠蔽や工作をして、時間を過ごしているのではないか。そうでも思わない限り、全国で繰り広げられる、杜撰な対応ミスが発生するわけがない。教育行政にかかわっている人たちが、全くの世間知らずではないからだ。個人個人は、非常にまじめな方々だと思うからだ。そうでなければ、教員になろうとは思わないだろう。組織の歯車に仕立てられていった結果の対応・態度なのだと思う。

責任感、使命感をしっかり持てる教育行政組織にしていくことでしか今回のような問題は防げないのではないかと思う。歯車になってはいけない。教師は、志を高くして、教育行政に参加することだ。

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