男女平等とは何か?

科学界で男女平等、実現できる? 東大の教授らが議論「励ます声を」
(朝日新聞 9月20日)
 
〇科学界のジェンダー平等の実現について議論する座談会が9月6日、東京都内で開かれた。
大学の教授や副学長ら女性3人が登壇し、理系分野に女性が少ない背景や平等に向けて必要な取り組みについて語った。
 
〇座談会は在日フランス大使館(港区)で、研究者を目指す女性を応援しようと、化粧品大手の日本ロレアル(東京)が開催。
女子中高生向けのプログラミング教育などを手がけるNPO法人「Waffle(ワッフル)」の田中沙弥果・理事長が司会を務め、東京大学の横山広美教授、東北大学の原山優子名誉教授、東京工業大学の桑田薫理事・副学長が登壇した。
 
〇冒頭に、日本の女性研究者が18万3300人(2022年度)で、研究者全体に占める割合が18.3%にとどまるとする総務省のデータなどが紹介され、学術界における男女格差が大きいことが示された。
 
〇今年の入試で58人の女子枠を導入した東工大の桑田理事・副学長は「理工系の学部に女子学生がびっくりするくらい少ない。大学でジェンダーの平等性が保たれていないので、社会もそういう状態になる」と指摘。
女子学生がどう進路を決めているかを調査した経験にもふれ、「親の影響力も大きい。家庭に(女性に理系を勧めないという)アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)がないかどうか、意識してほしい。大学も説得していきたい」と話した。

〇横山教授は、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)で日本の女子生徒の理系の平均スコアが世界と比べて高いことなどを挙げ、「優秀にもかかわらず、日本では女性は理系に向かないというバイアスが強い。なんとなく過ごすうちに学校や家庭でバイアスの影響を受けてしまう」と背景を説明。
これまでの研究で、「数学の能力は男性が高い」という思い込みが5〜6歳の子どもにも確認されているといい、「小さいときから、誰でも科学にアクセスできる、あなたも科学者になれる、と励ます声をかけ続けなければならない」と訴えた。
 
〇原山名誉教授は、若手研究者を対象に研究費をつけるプログラムに関わった際、女性枠をつくったところ、これまで応募がなかった女性研究者から手が挙がった例などを紹介。
「自分には可能性がないからと手を挙げない、能力のある女性がいる。そういう人たちにフタをせず、自由にいられる環境を担保することが重要だ」と語った。
(本間ほのみ)

https://www.asahi.com/articles/ASS9M1Q69S9MUTIL01SM.html


◇「科学界で男女平等、実現できる?」という題にひかれてこの記事を取り上げるのだが、まず、男女平等とは何か、ここを問わなくてはならない。
この記事では、科学界で女性研究者が少ない原因は日本文化的背景だとしている。そして結論は、女子でも科学者になれると「励ます」とが大切だというのだ。こんな安易な結論があるだろうか。

◇まず、問われなければならないのは、男女で科学者になれる機会的平等はあるのかということだ。
結果論的にないとしてもそれではダメだ。
数年前の医学部の女子に対する差別的扱いが暴かれたが、まずは、原理的に機会の男女平等がなされているのかを、考えた方が良い。
男女に平等に開かれた入口であると証明されたら、その次に、科学界において、男女比の不均衡が、なぜ、ダメなのかを検証することだ。
大前提として、男女比が不均衡なのが悪いと結論付けて、男女平等を謳っても、それほど意味はないのではないか。
なんでもかんでも、男女平等を言っていれば良い時代は終わったように思う。
しっかりとした議論を形成していくことが必要ではないかと思う。