子どもは社会からの預かりものだという認識をどう持つか
子どもの虐待相談件数、過去最多21万9170件 32年連続で増加(朝日新聞 9月7日)
https://www.asahi.com/articles/ASR965V3BR95UTFL00N.html
〇全国の児童相談所が2022年度に子どもの虐待について受けた相談は、
21万9170件(速報値)で過去最多を更新した。
32年連続の増加で、前年度より1万1510件増えた。
こども家庭庁が7日、公表した。
〇虐待の内容別でみると、
「心理的虐待」が最多の12万9484件(59・1%)、
次いで「身体的虐待」が5万1679件(23・6%)、
「ネグレクト(育児放棄)」が3万5556件(16・2%)、
「性的虐待」が2451件(1・1%)だった。
〇相談経路は、「警察など」が11万2965件(51・5%)で最多。
次いで「近隣・知人」2万4174件(11・0%)、
「家族・親戚」1万8436件(8・4%)、「学校」1万4987件(6・8%)だった。
〇相談対応件数の増加の背景には、警察などからの通告が増えていることが挙げられる。
相談対応件数全体で前年度から増えた1万1510件のうち、8割超の9861件が警察などからだった。
〇また、21年度に虐待を受けて死亡したことがわかった子どもは全国で74人いた。
前年度から3人減った。74人のうち、心中以外で亡くなったのは50人だった。
年齢別でみると、0歳が約半数で最多の24人で、
このうち生後1カ月未満が最多の6人、うち3人は生後24時間未満で亡くなった。
(川野由起)
◇子どもの虐待が、どんどん増えているという。
昔から虐待的な子育てはあったのだろう。
しかし、少なくとも、1960年代以前の日本の子育ては、
子どもをしっかり甘やかせていたと言われている。
その頃の母親は、子どもを抱っこやおんぶをしながら仕事をしていた。母子一体の関係だった。
そして、地域の中で子育てが行われていた。
その頃には、子どもは、社会からの預かりものという感覚があったのだ。
その関係が大きく変わったのは、1960年代に、ヨーロッパ流の子育てが入ってきてからだ。
子どもを早く自立させようと、どんどん母子分離が進んだ。
また、経済発展とともに、地域社会の教育力が衰退し、
そして母親の社会進出も大きく影響をし、子育て自体が、どんどん学校などに委ねられていったのだ。
その結果、子育てが、地域の問題から、学校と家庭の問題、そして個人の問題になった。
◇地域社会が成立した時代にはあった、子どもは社会からの預かりものという感覚が、消えていったのだ。
つまり、子どもは神様からの授かりものではなくなってしまったのだ。
子どもは出来てしまったものという感覚が生まれ、その感覚がどんどん広がったのではないか。
その結果、児童虐待が社会化したのではないか。
◇もう一度、子どもを社会の預かりもの、神様からの授かりもの、
そういう感覚を私たちの社会は、みんなに持ってもらわなければならないのではないか。
そのためには、まず、地域社会の再構築が必要だ。
そして、その過程の中で、徐々に子育てを地域社会に開放することではないか。