子どもたちに何を要求するか!

都内の公立小中の不登校、過去最多3万人超 「やる気が出ない」最多(朝日新聞 10月31日)
 
東京都内の公立小中学校で不登校の児童・生徒数が2023年度、3万1726人に上り、都道府県別の公表を始めた08年度以降で最多を更新した。都教育委員会などが10月31日、発表した。
 
小学校で1万3275人(22年度比2580人増)、中学校1万8451人(同2234人増)。全日制・定時制高校は計5333人(同1402人増)で、都によると比較可能な11年度以降で最多だった。 

データは文部科学省が全国の学校を対象に毎年行う「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によるもので、都内の公立学校分を都教委がとりまとめて公表した。年度内に30日以上登校しなかった児童・生徒を「長期欠席」と定義し、このうち心理的・情緒的要因などで登校できない場合などを「不登校」としている。
 
不登校について学校が把握していた状況(複数回答可)は、小中学生とも「学校生活に対してやる気が出ない」が最多で、「不安・抑うつ」「生活リズムの不調」などと続いた。都教委は「コロナ禍が明けて学校生活の制限がなくなり、交友関係を築くのに苦労して登校意欲がわきにくかった例もある」と指摘。また、17年に施行された教育機会確保法で、多様な学びの場の重要性が明記され、国が「不登校は問題行動ではない」と明確にしたことで保護者の認識が変わったことも、不登校増加の背景にあるとみる。
 
不登校の児童・生徒のうち、指導の結果、登校できるようになった割合を示す「学校復帰率」は小学校で34・9%(同5・4ポイント増)、中学校で27・9%(同6・2ポイント増)。都教委はこれまで、全公立小中学校へのスクールカウンセラー配置や、不登校の児童・生徒に配慮した特例校の充実に取り組んでおり、担当者は「たくさんの学びの場につながることで、結果的に学校に来られるようになったのではないか。一人一人に応じた支援をするため、たくさんの施策を用意して、その網目にかかるような形をめざしたい」と話す。
 
私立の不登校生の数も発表された。都生活文化スポーツ局によると、小学校189人(同12人減)、中学校2193人(同147人増)で、計2382人。高校は全日制・定時制の計1850人(同229人増)だった。不登校の要因は、小中高のいずれも「生活リズムの不調」「学校生活にやる気が出ない」「不安・抑うつ」などが多かった。(太田原奈都乃)

https://www.asahi.com/articles/ASSB00Q62SB0OXIE01YM.html

不登校は大きな問題だが、教育機会確保法が、不登校を問題行動ではないと定義してから、よからぬ方向へといってしまうのではないかと危惧している。どんどん子どもの現状に合わせたことをやりすぎてしまうと、とんでもないことになるのではないかと思うのだ。

記事の中に「不登校の児童・生徒のうち、指導の結果、登校できるようになった割合を示す『学校復帰率』は小学校で34・9%(同5・4ポイント増)、中学校で27・9%(同6・2ポイント増)」とあるように、学校復帰率が高くなっているのは、保護者が、学校が、安易に学校に行かないことを容認してしまったからではないか。
不登校からの復帰率が高いことが喜ばしいことではなく、最初の段階で、ちょっと行きたくなくても学校は行っておこう!と言うことが、大切なことではないか。社会に出たら、自分の好きなことなど早々出来るものではないから。子ども時代にしっかり自分と他者、自分と社会との関係の中に揉まれることが大切ではないか。

私は若い頃、まだ「登校拒否」という言葉が使われていた頃、家庭訪問をし、子どもたちの話し相手になり、寄り添いながら、自分で関われる範囲で、今でいう不登校の子どもたちに付き合ってきた。時代が彼らを許さなかった側面もあるが、その子どもたちの大半は、葛藤の中にいた。行きたいけど、行けない状態だった。安易に家にこもっていたわけではなかった。

しかし、昨今は、非常に子どもたちに気を使いすぎて、不登校が問題行動はない、普通のことなのだという風潮にしているのだ。少なくても、不登校は、普通のことではない。問題なのだ。
誰でもが行ける場所として、学校があったはずだ。たとえ、一部の子どもが居づらさを感じてはいても。そして、一部の子どもが登校を拒否していたとしても。ここをしっかり考えることだ。

子どもの現状に迎合するような対策ではダメなような気がする。例えば、9月に発表になった、アバターを使って、教育機会を確保しようなどというのも、大きな間違いなのではないかと思う。学校の不登校問題を社会の不登校問題として議論できるようにした方が良いと思う。