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旭川いじめ ネット上の「調査報告書」はたたき台か、流出元調査へ(朝日新聞 6月26日)
 
北海道旭川市の公園で2021年3月、いじめを受けていた中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が凍死体で見つかった問題で、ネット上に流出した原本を思わせる黒塗りのない「調査報告書」は、公表版を作成する前の「たたき台」と思われることがわかった。黒塗りの箇所指定や表現の修正メモもあり、流出元の特定につながりそうだ。
 
ネット上で公開された「調査報告書」は11~150ページがあり、134ページの第5項目「R中に転校後から令和3年2月に亡くなるまでの期間」の記述の上に「っているのが発見され」という手書きのメモが書かれ、公表版では「R中に転校後から令和3年3月に亡くっているのが発見されるまでの期間」となっていた。発見の時期も「2月」から「3月」に修正されていた。
 
さらに黒塗り箇所にはラインマーカーのようなもので範囲をカギかっこで囲んだり、文章表現で気になった箇所にはペンでアンダーラインや大きな丸囲みがされたりしていた。
 
調査報告書は22年9月に第三者委員会から市教育委員会などに提出されたが、ネット上の「調査報告書」は、提出前に第三者委と遺族側が黒塗り箇所や表現などについて調整した際の「たたき台」の可能性が高い。この調整には市教委は加わっておらず、「第三者委か遺族側から流出したのでは」とみる関係者もいる。
 
調査報告書提出時の第三者委は委員長を含む委員4人と臨時委員5人で、いずれも弁護士や精神科医、臨床心理士などの専門家で構成されていた。昨年、市議がネット動画で「黒塗り外しの調査報告書を持っている」と配信した際、遺族弁護団は「非公開部分を公表する行為は遺族にも耐えがたい屈辱を与えるもので、断じて容認できない」と市教委に刑事訴追を含む要望書を提出している。
 
この時、市教委は「現物」が廃棄されていたため、流出元の調査を断念したが、今回は24日からネット上に公開されている。市教委は近く、文書を載せたサイトを運営する市民団体代表に削除を要請し、流出元を調べる考えだ。(奈良山雅俊)

https://www.asahi.com/articles/ASS6V0SQ0S6VIIPE005M.html

私のコメント

◇あってはならない事件だ。情報の公開性は非常に重要だが、それとプライバシーを暴き出すのは、全く意味が違う。人権や利権に関する行政や司法の行為を公開し、その行為の公平性をコントロールすることと、個人の特定の行為を公開することは、全く次元が違うのだ。

◇今回のいじめに関する調査報告書のネット流出で、個人の行為が特定でき、完全なプライバシーに関することが公衆の面前で公開されてしまったことは、関係者にとって非常に痛ましいことだ。このような事態が再び起こることのないようにしたい。

◇無法地帯と化しているインターネットの世界をどうにかしなければならないが、情報の公開性との関連で、一律の規制だけで済まされるものではない。とはいえ、このまま見過ごして、どんどん無法化することも好ましいことではない。まずは、プラットフォームを提供している企業の内部統制と掲載基準の確立をすること、そして、市民によるチェック機能を充実することが急務ではないかと思う。そのために、政府はどうするのか。しっかり議論をしてほしい。特に、教育関連に対する考え方は、様々な角度から議論するようにしてほしい。教育行政だけで解決できる問題ではないからだし、そのアイディアも出てきそうもないからだ。

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