時代が変われば、教育も変わる?そんなわけはない!
次期学習指導要領「知って」 文科省が諮問のポイント資料を公開(朝日新聞4月22日)
学習指導要領は約10年ごとに改訂される。昨年12月に文部科学相が中央教育審議会に諮問した内容が、約2年かけて議論され、2030年度にも導入される小中高校の次期学習指導要領となる。
だが、教科書や指導書は読むが、その元である学習指導要領や解説を読む教員が少ないことも指摘されている。文科省は3月、教員や子どもまで広げて議論をしようと、諮問のポイントをわかりやすく解説する資料をサイトに公開した。
前提として、生成AIなどデジタル技術の発展や、グローバル化、少子高齢化を背景に、子どもたちの多様性を包摂し、一人ひとりの可能性を開花させる教育が必要とされていることと、教師の努力と熱意だけに頼ることなく、負担にも真摯(しんし)に向き合い、新たな時代にふさわしい在り方が必要としている。
具体的な論点は、主に四つ。
1.学習指導要領そのものを、表やデジタルを活用し、評価の在り方、デジタルを前提とした資質・能力の示し方など、質の高い授業に直結し、わかりやすいものにする。2.不登校やギフテッド、外国にルーツのある子など、多様な子どもが輝く柔軟な教育課程編成の促進や、子ども自身が学びの自己調整をできる方法、教師の指導の在り方。
3.情報活用能力育成や探究的な学び、文理融合、生成AI活用、幼小連携、質の高い特別支援教育など、教科などで改訂すべき目標や内容。
4.デジタル教科書を含む教科書の内容や分量、標準授業時数、教育委員会への支援や指導主事の資質・能力向上など、教員に過度な負担を生じさせずに新しい指導要領の趣旨を着実に実現する方策
──となっている。
https://www.asahi.com/articles/AST4L0PZCT4LUTIL02QM.html
同省の武藤久慶・教育課程課長は「子どもたちが自らの人生をかじ取りする力を身に付けられるよう、デジタルの力でリアルな学びを支えつつ、多様性を包摂できる次期学習指導要領を目指したい」としている。(宮坂麻子)
昨今の学校教育における世間の要求、その世間の圧力に屈するかに見える文科省の動き、そして、今の子どもたちの現状、このような状況を見るにつけ、私は、学校教育とは何かを徹底的に議論し、共通認識をもって、学校教育改革を進めた方が良いと思う。
時代が変われば、教育も変わると誰が考えたのだろうか。時代が変わっても、変えてはいけないものが、教育には多い。そして、学校教育の中では圧倒的に変えてはいけない部分が多い。学校教育が、個人の能力開発を担っていないからだ。学校教育は、社会のインフラとして、個人を集団化していくものだからだ。社会馴致と言っても良い。学校教育が、身体訓練の場と言われるのは、そのためだ。
学校での生活をどうするか、学校での学びをどうするか、もう一度考えることだ。活動だけで学びがないような状況を作らないことだ。子どものうちに苦労して学ぶことを教えないと、簡単に手に入るものだけを求めてしまうようになる。簡単に手に入るものは、簡単に消えていくものだ。そうならないように、根本から学校教育を考えることだ。世間の人たちとも議論することだ。
未来のことは、誰にだってわからない。だから、しっかり議論することだ。表層的な変更が、深層的な土台を蝕んでしまうから。
一般社団法人日本教育コンサルタント協会
代表理事 中土井鉄信